真夜中に悲しい話を読む

「真夜中に悲しい話を読む」

仕事その2が終わった後、いつも寄るスーパーの書籍売り場で立ち読みをしようとして、ふと、その本が目に留まった。 ずいぶんと昔に読んだ記憶があったけれど、はてさて、内容はまるっきり覚えていなかった。 それでもパラパラとめくって何行か読んでいくうちに、興味をひかれ、ちょうど図書券が一枚財布の中にあったのを思い出し、買って読んでみることにしてレジに持って行くと、レジには私とすっかり馴染みになっている50歳半ばくらいの女の人がいて、彼女はその本を目にするなり 「あら、これこの間亡くなった人の本だよね、なつかしいなあ。私も昔読んだことあったけど、どんな話だったかさっぱり忘れちゃった」 と、言って笑った。 「そうそう、私も昔に読んだけど、忘れてしまったもんで・・・」 と、本を受け取りながら、私、なぜだかちょっと照れていた。 で、その本、二時間くらいかかって、やっとさっき読み終わった。 作者は、これを書いた時、まだ18歳だったとのこと。 あまりの早熟ぶりと才能にただただ驚くばかりなりけり。 すごく素敵でかっこよくて女ぐせの悪いお父さんの再婚をなんとか阻止しようとする17歳の小悪魔的魅力を持つ女の子のひとなつの物語。 彼女は再婚を妨害するために、あるとんでもない計画を思いつく。 それが後々にそのような悲劇を巻き起こすことになろうとは・・・。 読んでいるうちに、微かな記憶がよみがえってきた。 そうそうそうそうそうだった。 それでもあの当時は、さほど深い感銘を受けなかった。それほど印象にも残らなかった。 (ので、忘れてしまっていたのだろうけど) おそらく当時の私はまだ子供だったので、話の内容がよくわからなかっただけなのかも。 私が17歳の頃は、大人の世界にまるっきり興味がなくて すなわち大人そのものにも無関心で、大人を好きでも嫌いでもなくて ようするにどうでもいい存在だったような気がする。 それにしてもこの物語の主人公のように、わずか17歳でここまで深く大人たちと関わらなければならない身の上が、なんだかひどく気の毒に感じた。 悲しいお話だった。 タイトルが 「悲しみよ こんにちは」 というだけあって。 実に、なんとも・・・。